もともと企業経営者として高齢者問題に取り組んでいた。今はNPOで収入は十分の一。でも楽しさは比較にならない。本当に自分がやりたいことをやっていると感じる。今回はそんな「青春まっさかり」の佐藤正氏(特定非営利活動法人(以下(特活))長寿社会システム研究機構代表理事)にお話を伺った。
福祉の国際協力
かつて北マリアナ諸島ロタ島に日本人定年退職者のためのリタイアメント・ビレッジを作る構想があり、企画書作成依頼を受けた。結果的にその事業はバブルで頓挫してしまったが、企画や建設のコンサルティングスキルは(特活)長寿社会システム研究機構に引き継がれ、韓国やウズベキスタンへの福祉の社会システムに関する国際協力に活かされている。
「経済協力は関係者同士の支援であり、利権構造にあることが多い。そのような中、医療・福祉における人のつながり、交流を目指す『福祉の国際協力』を模索している。」そこでは行為としての協力よりはむしろ人と人との関係づくりが強調されている。人の心に残るのは結局そういった「関係」であるのかもしれない。
元気な福祉
「高齢社会を明るく生きること(世界保健機関・WHOが提唱する、単に余命を長くするというのではなく健康で明るく元気に生きる政策)を本格的に追求」する佐藤氏。これまでの「老い」のイメージ、「施設」としてのグループホームなど、そこには何かしら暗いイメージが付きまとう。それらを払拭したい。しなやかに、かっこよく生きる高齢者の姿、その本来の姿を取り戻したいという。
彼が代表理事を務める(特活)長寿社会システム研究機構は、地域住民のためのグループホーム立ち上げをサポートしている。地域の拠点、在宅の拠点となるグループホーム。その確立には、地域住民とのつながりはもちろん、「お年寄りは社会的弱者である。」という認識に立ち返ることも必要である。高齢者の目線から「豊かで安心して住める環境づくり」とは何かを考えねばならないのである。
例えば、「日常をどれだけ楽しく送るか。」といったことを非常に重視しているという。というのは、そのようなことを考えるとき、そこにおいて高齢者は「介護を受ける者」から「生活する主体」へ、スタッフは「介護の提供者」から「生活のパートナー」へと変わるからである。人と人との関係においてどのような価値基準をもって関わるかということは、その関係の質を大いに左右するのではないだろうか。
「NPO大学院講座」
さて、以上のようにすでにNPOを設立・運営されている佐藤氏であるが、なぜ「NPO大学院講座」(以下NGS)に通うようになったのであろうか。その理由は理論武装したかったからだという。
そもそも高邁な理念をかかげてNPOを立ち上げたわけではない。なんとなく「NPOの時代」だなあと肌では感じていた。しかし、経験のみでは得られない「理論」について勉強不足を感じていたところに、NGSがあった。
「特定非営利活動促進法」の設立背景、その法的解釈など普段の活動では意識しないことである。しかし、敢えてそのようなことを意識化させ、理論を学ぶことは強みになったという。経験のみでない。理論のみでない。バランスが視野を広げる。
理論の面で鍛えられただけではない。世代間のコラボレーションという副産物もあった。共に机を並べた若者が成長していくのを目の当たりにし、自分も刺激を受ける。若い人の考えを知る良い機会になったそうだ。
最後に
「『NPOって何だろう?』という疑問は常につきまとう。しかし、目的意識がはっきりしている点がNPOの良いところ。ミッションがある。こだわりがある。今一歩踏み出せない人はヨーイドンで走り出せばいい。何をするにもリスクは必ずついて回るのだから。」
苦労や不安についてお聞きしたときに頂いたお答えの一部である。「金儲けはいずれ飽きる」と言い切るその姿に私はとても勇気づけられた。
(事務局/前田裕子)
●連絡先
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