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NPOにも経営感覚が必要という認識は、徐々にではあるが浸透しつつあるようだ。資金難や人手不足など種々の問題を抱えながら事業を行うNPOにとって、ミッションを達成し、市民にとって必要な社会的サービスを継続的・安定的に提供していくためにも、それは欠かせない。しかし、そうは分かっていても、組織経営に関する経験とノウハウの蓄積がないことが多いNPOにおいては、数々の経営上の問題にどう対応すればよいのか分からない場合が多いようである。NPOにとって必要な経営力とは何か?それを獲得するための方法は?こうした問題意識から、大阪NPOセンターではNPO経営コンサルタント養成の取り組みを始めている。
テクニカル・サポートから経営全般支援へ
大阪NPOセンターでは設立以来「NPOたすけ隊」による相談事業を実施してきている。たすけ隊の隊員は弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、中小企業診断士の公的資格を有する専門家である。発足当初は設立に関する事務的な相談が中心であったが、最近は運営相談が増えてきている。
運営相談として経理、税務、労務等、個別の問題に対するテクニカル・サポートだけではなく、経営全般についての相談も出てきつつあるし、個別の問題についての相談を受けている過程で、経営全般に問題があるのではないかと思われるケースが増えてきている。
NPOの多くはボランティア団体を法人化したところが多く、ミッションやボランティア精神を大切にするあまりに、経営という点では問題が多い。ミッション性を大切にしなければならないことは言うまでもないが、組織としての継続性を確保して行かなければ設立の趣旨を達成できないことになる。ところがNPOには組織経営の経験者が少なく経営の重要性を認識していても問題解決の方法が分からない場合が多い。とくにマーケティングや品質管理、損益計算といった面は苦手のようである。
そのような状況から当センターでは、昨2002年度から内部に「NPO経営研究会」を設け、NPOの経営の実態・問題点を明らかにすることに努めるとともに、「NPOも経営の時代」を標榜し「NPO大学院講座」を開校し、また「NPO起業・経営コンサルタント養成塾」を開設した。
NPO経営の特殊性
NPOの経営も企業の経営と基本的には異なるものではないというのが我々の認識である。NPO大学院講座では、企業のマネジメントをベースに、NPO経営に固有な課題解決法の講義とケース・スタディでコースを組みたてている。一方、コンサルタント養成塾は、既に中小企業の経営指導の実績をつんでおられる方々を対象に、NPO経営の特殊性を理解して頂く講義と実地訪問によりNPOの経営実態を体得して頂く短期講座である。
NPO経営の特殊性としてとしては次のような点に重点を置いている。
・ミッション
・ガバナンス
・倫理
・ボランティアマネジメント
・ファンド・レイジング
・評価
・ディスクロージャー
コンサルタントを養成しても、実際にはNPOについては、企業に対するコンサルティングのレベルの需要はほとんど見込めない。当面は経営相談の域を出ないものになるであろうが、今年度から「NPOたすけ隊」のメニューに経営コンサルタントを加え、少しでもNPOの経営レベルの向上に資するようにしたいと考えている。
その一方で、ミッションなどは考慮せずに利益重視でコンサルティングを行ったり、NPOとは資本金ゼロの会社であり、ボランティアを「使って」人件費ゼロで会社経営が出来るのでNPOを設立する例も散見されるようになってきた。当センターがコンサルタント養成塾を開設したのは、NPOのための良質で良心的なコンサルタントに活躍してほしいとの思いからでもある。
行政との交渉力
最近はNPOとの協働と称して行政からNPOに事業を委託することが多くなってきている。それはそれで行政改革につながるものであるし、NPOの経営力向上に資することであるから望ましいことではあるが、実際には問題が多い。それは行政にそもそも経営感覚がないこと、NPOとボランティアの区別さえつかないこと、事業委託と言いながら瑣末な指導が多いこと等々である。このような状況ではNPOの経営力向上を目指しても、重要なクライアントの一つである行政の理解が乏しいために実現が難しい点もある。コンサルティングを通して行政との交渉力を強化することも狙いの一つである。
なお、大阪府では府職員のためのテキストとして「行政とNPOの協働の手引き」を作成し、職員研修を実施している。このような形で行政の理解を向上させることもNPOの経営力向上には重要な要素である。当センターでは、このような面も併せて努力しているところである。
(大阪NPOセンター理事/ 今田 忠)
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