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2003年5・6月号Vol.51

P1■巻頭コラム&Photo:「NPOは三大本能発揮の場」
P2-3■「世界の苦しみ」に目を向ける―世界市民としてのNPO/NGOに求められるもの―
P4■NPOに必要な経営力とは?―NPO経営コンサルティングの必要性―
P5■快適なパソコン環境を実現しよう!Aソフトウェア編
P6■上海的社会/市民事情Vol.1市民生活の変化と非営利組織の動き
P7■さまざまなNPOのあり方を探る Vol.20地域に根ざした生活拠点づくり特定非営利活動法人み・らいず 

 

上海的社会/市民事情Vol.1
市民生活の変化と非営利組織の動き

 

近年、中国は急速な経済成長を背景に国際社会でのプレゼンスを高めつつある。とりわけ成長著しい上海は、発展のシンボルとして最先端を走っている。一方で、社会・経済の環境の変化にともない、NPOが社会の重要なファクターになる予兆もある。社会システムや法制度、人々の考え方の違いにより、欧米的な基準からみれば萌芽期といえようが、変貌する中国の一断面を映し出していることに変わりはない。今回から3回にわたり上海の一般的な社会・市民事情を紹介し、隣国のNPO事情を考える一助としたい。

高度経済成長が続く上海経済と市民生活の向上

 上海のGDPは、1992年以降12年間連続で10%成長を続けている。とりわけ、この数年間で街並みは一変し、1930年代のオールド上海時代の趣きは保存しつつも、浦東地域の高層ビル、准海路・徐家匯・新天地などの西洋的な繁華街が受け入れられ、広大な緑地の整備が目立つ。市民生活は格段に向上し、中流家庭には個性豊かな家具・調度用品、電気製品、衣服にあふれ、飽食の時代を迎えている。一方、貧富の差が着実に広がっており、一般家庭では、質素・倹約の生活をする家庭も多い。

社会主義市場経済体制への移行と市民感覚の変化

 1978年の「開放・改革」、1992年の「社会主義市場経済」政策の採択により、中国は市場経済重視の政策に転換している。画一的な基準やスローガン重視というよりも、貨幣を基準とした社会経済が動いている。この点、実際、上海に暮らしてみると、日本よりも自由な部分が多く、日本の方が社会主義的であると感じることが多くあった。
 もともと、社会主義思想に基づく社会体系は、画一的な面があるものの、住民の自発的・組織的な運動と考えられる要素が高く、NPO的なモノの見方が内在したものではあったが、近年、生活向上イコール収入至上主義的考えが蔓延する中、市民の自発的なNPO的考え方が減退しているのが気にかかる。

非営利組織―「社会団体」と「民弁非企業単位」
 
 元来、政府及び国有企業中心の非営利性社会であることから、「非営利団体」という概念は存在しなかった。その後、福祉、青少年、女性、コミュニティ、消費者保護などの面で、新たな問題に対処するための公益団体が政府主導で設立され、民間資金やボランティアの活用が盛んになり、一方で、生活水準の向上や社会の情報化が、人々の社会参加機運を促し、自然保護や女性問題などを扱う草の根団体が誕生している。
 非営利組織は、「社会団体」と「民弁非企業単位」に分かれ、現在、約21万団体の登録があり、制度改正により過渡的に未登録になった団体が約80万団体ある。そのうち、「社会団体」とは、「社会団体登記管理条例」(1998年)に基づき設立・管理されるもので、「中国国民が自主的に組織し、会員の共同意志実現のため、その定款により活動していく非営利性社会組織」と規定されている。なお、法制度上の規定とは別に、社会に悪影響を与えない団体であれば、現実的な活動を行うことが黙認されている。

希望工程と互人多(フレンド)活動

 「長江(揚子江)氾濫」時の対応にみられるように、困窮した人々に対する人的・金銭的貢献を厭わない人々が多いことに感心する。制度的にも、財政力の高い上海市が弱い雲南省を支援するということが定められ、成功した企業が社会貢献活動を行うことが、企業が評価を受ける条件ともなっている。
 非営利組織の例として、「希望工程」がある。これは、中国青少年発展基金会が1989年に始めた社会公益事業であるが、民間から集めた資金(基金)によって、学校建設や貧困のために学校に行くことのできない児童を援助することを目的としている。なお、運営にあたっては、地元の上海市希望工程弁公室という政府組織が関与しており、完全な民間非営利組織は存在しないことを物語っている。
 これに関連し、上海在住の日本人(女性中心)が、1997年に「互人多(フレンド)」を結成し、既に二つの学校を建設支援するなど草の根で支援活動を展開している。
 最後に、非定型肺炎SARSの流行にあたり、中国の医療・看護ボランティア・NPOの方々の献身的活動に敬意を表しますとともに、この病気が早く撲滅されることをお祈りします。
(財団法人大阪観光コンベンション協会/草薙勝之)

※筆者は、1999年度大阪府ボランティア・NPOグループ主幹。2003年2月まで上海駐在。

◆過去と未来―2つの上海◆



(写真左)未来都市・浦東     (写真右)オールド上海の面影・外灘 

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